自らのワークライフバランスも大切にし、
その人、その家族、その地域を診る医療を
他にも長野など各方面からのアクセス軽快な同駅のほど近くに、上越地域医療センター病院はある。地域医療の要としての機能を果たす同院では、医師の良好なワークライフバランスが実現している。
◎1995 年/金沢大学医学部卒業 ◎1995 年/JA長野厚生連 佐久総合病院 ◎ 2001年/医療法人徳洲会 ゆきだるまクリニック院長◎ 2010 年/上越地域医療センター病院 ◎2017年/副院長 総合診療科部長 ◎2018年/院長 現在に至る
目指すのは、“敷居の低い”病院
2018年4月、上越地域医療センター病院の院長に就任した古賀昭夫氏は、僻地等の診療所に勤務した経歴を持つ。その経験から同院の目指すところを“敷居の低い”病院においたと語る。
「診療所に勤務していた当時、地域の在宅や施設で療養している患者さんが、心筋梗塞や脳血管障害を発症した場合は、比較的スムーズに入院先を決めることができました。しかし肺炎になった、ものが食べられなくなった等の症状では、受け入れ先を探すのに苦労したことが少なくありませんでした。高齢化が進む地域医療の現場では、後者のような例が多く、それは住民にとって不利益な状況です。当院ではそうした症例も積極的に受け入れ、いわば“敷居を低く”することで、診療所との連携を強化し、地域の方の暮らしを支えていきたいと考えています」
同院では現在、高齢者を中心に、肺炎や糖尿病、心不全、がん、消化管イレウス等の急性期の標準治療を実施。また脳卒中や大腿骨骨折における地域連携パスの回復期医療機関としてリハビリや療養等の亜急性期や慢性期の患者も受け入れている。そしてさらに地域に開かれた病院とするために、古賀氏が中心となって総合診療科が立ち上げられた。
「少し体の調子が悪いとか、健診で数値が基準値を超えていたとか、ささいなことでも気軽に来院できるように、また複数の症状があり、どの診療科にいけばよいかわからない場合に受け入れる窓口としての機能も持たせました。加えて、なかなか病院に来られない患者さんのために訪問看護ステーションの充実や、在宅医療にも取り組んでいます」
患者中心のアプローチで総合診療に取り組む
総合診療、および家庭医療に力を入れる同院は、自治医科大学による家庭医療後期研修プログラムの地域研修医療機関認定病院でもあり、さらに同院独自のプログラムを展開。また古賀氏自身も日本プライマリ・ケア連合学会の指導医として後進の育成にも当たっている。
「地域における総合診療で重要なことは、『患者中心』『家族への対応』『個別ケア』であると考えています。患者さんが何を求め、何を期待し、そしてどう理解しているかを見極めつつ、そのバックグラウンドである家族や職場、地域を包括的に理解していくことが重要。その上で、一人ひとりの患者さんに対し、個別に治療計画や、ゴールをどこに置くのかを決定していく必要があります。病気だけではなく、その人、その家族、その地域を診る、ということが求められるのです。この取り組みをじっくりと行っていくためには、医師の側もワークライフバランスを大切にし、落ち着いて診療できることが重要。当院ではその環境づくりにも取り組んでいます」
同院では休日および夜間は当直制を取っており、基本的に休日はしっかりと休める体制となっている。また看護師を始めとしたスタッフとは日頃から顔の見える関係で、非常に働きやすい環境だと言う。
「医療クラークも優秀で、診断書、紹介状、主治医意見書、退院サマリーまで、完成度の高い書類を作成してくれるので、医師が診療に専念できます」